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安さの代償は…? 大丈夫? エアコンの取り付け

時はエアコン商戦真っ盛り、量販店などに足を運ばれている方や、既に購入してしまった、という方も多いのではないでしょうか?
この季節、エアコンの選び方、買い方ってどうなの? などというご質問も多くいただきます。

しかし、もしこれからエアコンの購入をご検討されるのであれば、エアコンの機種の選択以前に十分に注意を払っていただきたい点が一点あるのです。
それは、エアコンの取り付け費用と方法です。

少々込み入っていて、七面倒くさい話ですが、後々買ったばかりのエアコンの故障などで悩まされないためにも、参考になさってください。

エアコンは部屋に設置する室内機と、窓の外に設置する室外機をつなぎ、室外機で冷やした冷媒と呼ばれる気体を、パイプを通して室内機に送り込むことで、冷却器と空気を冷やすことによって、熱を屋外に逃がし、室内の冷房を行います。

この、室外機と室内機を結ぶパイプを満たしている冷媒、ここにフロンが使われています。

このエアコンで使われるフロンが、過去には不要になったエアコンの廃棄時、大気中に放出されており、環境問題でフロンが槍玉に挙げられる原因の一つとなっていました。
ただ、ここで取り上げたいのは、フロンそのものではありません。

環境問題として取り上げられた結果、エアコンの冷媒も、フロン(R22)から代替フロン(HFC / R410A)を使用した機種へと移行が進んでいます。
この結果、エアコンの取り付け方法に大きな違いが生まれました。

エアコンの設置作業を行うとき、冷媒が通る室内機と室外機を結ぶパイプを設置します。
このパイプは最終的には完全に冷媒で満たされていなくてはならず、空気や不純物が入り込んではいけません。
コンプレッサーの冷却により氷となった空気中の水分や不純物が微細なエアコンの内部に詰まったり傷を付け、故障の原因となります。

このため、配管に残った空気を取り除き、冷媒で満たす作業を、この作業を空気を取り除くという意味で「エアパージ」と呼びます。
特に代替フロンを採用した機種ではこの部分に対する要求が非常にシビアになったのです。

これまでのR22フロンを使用していたエアコンでは、単純にパイプを接続、室外機にあらかじめ充填されているフロンガスのガス圧で空気を押し出す手法が使われてきました。
この方法なら複雑な工具も時間も要らず、簡単に空気を抜くことができるのですが、ガス圧に頼る上に、不必要にフロンを放出するわけにもいかず、どうしても多少の空気や水分が残ってしまいます。

しかし、現在の代替フロンを使用したエアコンでは、それらの不純物に非常にシビアなため、故障の原因や性能低下の可能性もあり、メーカー各社はこの方法を推奨していません。一台の室外機を共有するマルチエアコンタイプの機種などでは如実に性能が落ちるとも言われています。
また、この方法では大なり小なりフロンが大気中に放出されますから、代替フロンでもR22フロンでも(というかなおさら)道義的には問題がある方法と言えます。

正規となるのは、いわゆる「真空引き」や「真空ポンプ方式」と呼ばれ、パイプを接続後、真空ポンプを使用して配管内の空気を可能な限り取り除いてから冷媒を充填させる手法です。
この方法は、必要な機材と、ポンプによる真空化のため、ようするに手間と時間がかかります。
(ちなみに、エアコンの取り付けをDIYでする方法の解説を載せているホームページがいくつかありますが、これも同様で、基本的に現状では×です)

ところが、実際には、ほとんどの量販店での取り付けが依然として前者のガス圧方式によるエアパージにより行われているといわれています。

何しろ、真空ポンプをきちんと回すだけでも20~30分、重い機材の設置取り付けなどでトータルで1時間前後 作業時間に違いが出るそうです。
真空ポンプも安価な機械ではありませんから、場合によっては自転車の空気ポンプのような手動のポンプで大汗かきながら空気をくみ出さねばならないケースもあります。

一日に何軒もの設置作業をこなすことを考えると、これだけで人件費が1万円前後の上昇となってしまうため、ここ数年で激しい価格下落とマージンの低下に悩まされている業界としては、おいそれと受け入れることはできず、暗黙の了解的に黙殺されているのが現状なのです。

特に、価格を前面に押し出したようなディスカウント系の量販店や、「エアコン取り付け費用無料!」などと謳っている販売店などは、かなりの確率で真空引きを行っていないといわれます。

代替フロンを採用した家庭向けのエアコンがメインストリームとなったのが昨年からと言われていますから、過渡期にあると言えなくもないですが、後述 するようにエアコンの設置に関する手抜きに近い工事は、これだけでなく多々行われているとのことで、これも過度の価格競争やデフレの悪影響と言えそうで す。

さて、消費者としてはどうするか? という話です。

なにも、「量販店で買うのは止めろ、電気店で買え」というわけではありません(そのほうが安心ですけどね…)。

エアコンの工事料金が1万円前後と安い場合は要注意、実際には2~3万円程度の工賃がかかっておかしくない工事です。
大手の量販店であれば、実は付加料金表などを見るときちんと「真空引き作業」などとして工賃が記載されていたりしています。
平均して1~2万円程度の追加出費となりますが、場合によっては数年で故障の原因となる可能性もある重要な作業なのですから、後で後悔するより数倍マシ。
そもそも、工事にきちんとした手数料を払うことで手抜き工事を減らすことができるのです。

頼み方は単純に「設置の際はきちんと真空引きでお願いします」と言えばいいだけ、きちんとした店なら「もちろんです」という返事がきますし、現金なお店ならばそこで付加料金を提示してくると思います。
知らぬ存ぜぬで通そうとしようとするようなお店での購入は、いろいろな意味で考えなおしたほうがいいかも知れませんね…。

途中でも少し触れましたが、エアコンの取り付けにまつわる問題はエアパージの問題だけではありません。

エアコンは、家電の中でも取り付けの複雑さでは間違いなくトップクラス、どちらかというと「設備」というのが正しい製品です。

このため、一口に取り付けといっても、レベルはピンからキリまで。
手間隙がかかる作業ですから、悪く言えば、手抜きをすればするほど儲かる作業なのです。
まして、量販店は、大量に販売した分の工事をどんどんと短い期間でこなしていかなくてはなりません…。

このため、かなり悪質な業者が横行しており、プロが見れば目を覆いたくなるような設置がなされている家庭も多くあるといいます。
(電気店には「1軒あたりOOOO円で請け負わないか?」という勧誘がきたりするとのこと…)
エアコンを何度修理しても1~3年おきに頻繁に故障する、などというケースは、エアコンそのものよりも、このような設置のトラブルに起因しているものが多いそうです。

通常、丁寧に取り付ければエアコンの取り付けには2~3時間かかるのがあたりまえ、とのこと。
これが、量販店系などの工事の場合1時間弱で終わってしまうといいます。
真空引きなどは論外で、パイプはただかくんと曲げただけ(これも故障などの原因…)、見た目は丸出し、節々の加工もいい加減…、といった具合。
廃棄する古いエアコンのフロンの回収義務なども、きちんと行われているのか不安です。

そりゃー、付けてもらう側としては速いほうが、なんだかうれしいわけですが、あまりに速く工事が終わった場合にはちょっと疑ってかかってみる必要があるかも知れません。
配管や設置の見た目が悪いのも、きちんとお金をかけて、やる人がやれば綺麗にできるのです。

なかにはマンションの施工業者などで、一軒当たり1時間で終わらせる達人的なプロもいるそうですが、それは腕と条件がそろった特殊な場合とのこと。

世の中、不況でデフレ、荒んできているのは他人事ではすみません。
面倒で出費も増えてしまうかもしれませんが、自分で守れるものはきちんと守っていきたいものです。

調査に手をつけるのが遅くなってしまったため、エアコン商戦本番開始にはちょっと間に合わなかったのが心苦しい限りですが、これからエアコンの購入を検討される方の参考になれば幸いです。

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